バイオメディカルニュース

第1号

バイオメディカル分野でのねじり試験実施における課題

生体材料やインプラント・デバイス、医用消耗品、整形外科用品、薬剤製品は、全て、製品のライフサイクル過程のある時点で、複数方向からの機械的荷重を受けることがあります。バイオメディカル産業における最も普遍的な形式の多軸試験は、試験片に軸荷重とトルクをかける二軸試験です。近年、ASTMやISOのような規格機関は、多くの規格にトルクと軸方向の要求を加えています。例えば、2013年にはASTM F543にAnnex 4が追加され、骨用のセルフタッピンねじに対して、ねじり負荷を同時に受ける状態で軸タッピン力を測定することを義務付けています。バイオメディカル産業における二軸試験は、ASTMとISO規格だけでなく、機能性試験によっても要求されています。例えば、糖尿病患者は、インシュリンのペン型注射器のダイアルを正しい投与量に合わせ、ペンを押し下げて薬剤を注入します。バイオメディカル産業が規格を遵守するか、または機能性試験を実施するかに関わらず、二軸試験は普及していきます。引張り試験とねじり試験が増えるので、多くの企業は二軸試験が複雑すぎると考えているようです。

しかしながら、全ての二軸試験が、複雑な方法と試験セットアップを必要としているわけではなく、複雑さ故に正しい二軸試験の実施を敬遠すべきでありません。二軸試験に臆病になることはありません。ただ、当たり前の課題ですが、試験前に理解しておかなければいけない試験内容があります。それは、どのように試験をするのかを知るとともに、正しい冶具を設計することです。

Torsion Testing

どのように二軸試験をするかを知ることは、一般的には、規格を読むこと、試験に対する要求を収集する、将来どのような装置が必要かを考えることです。簡単に考えると、二軸試験は、3つの主な要素に分けることができます。錘のついた滑車により一定の軸負荷をかけたねじりシステム、単調に増加または減少する軸負荷とねじり負荷をかけることができる単純な二軸システム、単調または周期的な軸負荷とねじり負荷をかけ制御することができる疲労システムです。例えば、最大トルクを決定する骨用ねじ試験は、ねじを所定の場所に留める一定の圧縮荷重と、ねじを骨材料に押し込むねじりが必要なだけです。一方、ルアーロック試験では、試験片は単調に負荷され、一定値までねじられた後解放されます。

最後に、二軸システムを要する、もっと複雑な試験は、しばしば整形外科の産業分野で要求されます。試験片や部品の耐久性試験における、長期間のトルクと軸負荷は、最高級の負荷と制御が必要であり、その結果、より先進的なシステムが必要です。全体として、規格と将来的な製品開発に基づいて試験に関する要件を決め、どのように試験をするかを知ることが最初のステップであり、二軸試験を実施する上での課題です。

冶具:特注品または標準品

どのように試験をするか決定した後の次のステップは、どのように試験片を掴むか、またはどのような冶具を必要とするかです。バイオメディカルの部品や材料のための冶具は、常に、顧客からの部品または最終製品にそれぞれ特有なものになります。子供には開けられないようにする薬瓶を製造する薬品やプラスティック企業は、異なる直径、形状、寸法の瓶とともに、異なるサイズのキャップでの圧力やねじりの試験を必要とします。様々な寸法形状のものをどのように掴むか、また全ての試験片タイプを扱える冶具を探すことが課題になります。インストロンは、多くの企業と共同して冶具を設計するとともに、標準的なグリップやお客様の要求の80%に対応できる3分割型チャックを供給してまいりました。

インストロンの経験によりますと、標準的なグリップや冶具は、お客様にとって最も経済的なものであり、これをベースとして、残りの20%の試験に対して、追加の部品や冶具を製作すれば良いことになります。低い力とトルクのアプリケーションに対しては、3Dプリンティング技術を使い、迅速に専用治具のプロトタイプを製作することができます。重要なことは、軸力やトルクの変換器、ソフトウェア制御、ねじりアクチュエータなどの、試験機の基本部分は、一体的に機能統合されており、冶具は試験方式を決定するための決め手ではないことを理解することです。

Torsion Dental Implant Fixture

結局、製品の機能的使用条件をシミュレートするために、またはASTMとISO規格を満たすために、二軸試験を実施するメリットを考えると、どのように試験をするか、また、装置の必要条件と冶具を決めることは、相対的に小さな課題と言えます。多くの医療製品は、機械的な多軸の負荷を受けますので、二軸試験が適切であるかどうか検討を始めることが、企業にとって極めて重要です。

お客様レポート:Synoste

フィンランドのベンチャー企業であるSynosteは、骨格変形の治療と矯正に向けた、患者に優しい次世代型の医学手法の開発により有名になりました。その最初の製品は、機能的材料と革新的な技術を活用した、下肢を延長できる完全にインプラント可能なデバイスです。

現行の四肢延長治療は、延長機構を持つ、骨に直接結合した外部構造からなるデバイスに頼るものです。これは、患者にとって非常に不快であり、また、骨に関する感染や調整不良、再骨折などの併発症をおこし易くします。患者の可動性も影響を受けるとともに、延長治療を行うために定期的に病院に通わなければなりません。

Synosteは、患者に対する優しさ、使い勝手、デバイスとしての信頼性を大事にする哲学に基づき、痛みが少なく高精度に制御できる治療デバイスを開発して、併発症発生率を低下させるとともに正常な日常生活への早期復帰を可能にしています。

Synosteの製品開発の過程で、材料試験は徐々に重要なプログラムになってきました。他部署と共有している試験装置に対する、直接的な責任感が不足していたため、研究は深刻な危機に直面していました。

Synosteが、どのように切迫した課題に対応したか、また長期的な計画に対する必要条件を充足していったかについては、こちらをお読みください。

ウェブ・セミナー:バイオメディカルの応用における、二軸試験(ねじりと軸方向)の課題の克服と普及について

このウェブ・セミナーでは、インストロンの応用面での専門家であるElayne SchneebacherとElena Manganoが、二軸試験に関わる共通的な課題について議論するとともに、特定の応用例を通して、結局、ねじり試験がそれほど厄介なものではないことを明らかにします。

Syringe Torsion Testing

最先端のひずみ測定:どう選択するかが、シンポジウムでの焦点に

ジョージア工科大学のバイオ・エンジニアリング技術シンポジウムに参加しました。このシンポジウムにおいて、Jim GleasonとKent Wallaceが、引張りと圧縮、曲げ、疲労の材料試験における最新の技術の現状について概説しました。このプレゼンテーションの中で、1μまでの確度を持つひずみ測定に関する最新技術について紹介し、接触式および非接触式ひずみ測定技術について述べるとともに、デジタル画像相関技術を用いた全領域観察ひずみ測定技術について紹介しました。最先端のひずみ測定技術を中心話題にして、インストロンの地域スタッフは、材料試験に関する全般的な情報を収集し、現在行っている試験についてアドバイスを得るためにシンポジウムに参加している教授や大学院生と会話することができました。また、将来の研究や試験ニーズのため、材料試験装置について調査する目的で参加した方々ともお話ししました。

インストロンのニュースから

ElectroPuls試験システムは、生体材料とバイオメディカルの冶具の機能性から、航空宇宙や自動車産業における材料や部品にとともに、金属やプラスティック、運動靴に至るまで、その挙動を調査することに応用されています。更に、ElectroPulsは、環境に優しいデザインとクリーンな環境での使用に適していますので、バイオメディカル分野での応用に好まれて使われています。

2014年の年末以降、ElectroPulsを使った材料試験について記述している、約40件の論文が公開されています。大部分の論文は、バイオメディカル分野で実施された研究に関するものです。論文を数例、下記に示しています。

The department of orthopaedic surgery in Stanford University recently used an E10000 linear-torsion, with a 10 kN/10 Nm load cell, to conduct biomechanical testing of ankle specimens. This study aimed to identify and examine ankle joint during low cycle axial compression and torsion testing. Through the test, they simulated common injuries and by placing pressure sensors into the joint they measured the contact pressure and how it changes during testing. 

Ankle Joint Contact Loads and Displacement with Progressive Syndesmotic Injury, Kenneth J. Hunt et al, 2015, Stanford University , Department of Orthopaedic Surgery, USA

This article is about determining the behavior of fasciles and interfascicular matrix (IFM) during cyclic loading as well as pull to failure testing. An ElectroPuls E1000 Test Instrument with a 250 N load cell and pneumatic grips was used for the evaluation of the mechanical properties of the above from both in energy storing flexor tendons and extensor tendons. The test focuses more in the viscoelastic properties of IFM allowing tendons to save energy and stretch.

The Interfascicular Matrix Enables Fascicle Sliding and Recovery in Tendon, and Behaves more Elastically in Energy Storing Tendons, Chavaunne T. Thorpe et al, 2015, Queen Mary University of London, Institute of Bioengineering, UK

The aim of this article is to test the mechanical properties of new implant prosthesis for the repair of gastrocnemius tendon, specifically in dogs. The strength and fixation of the implant were assessed using an ElectroPuls E 3000 Test Instrument for the evaluation of maximum load to failure and stiffness.

Mechanical Testing of a Synthetic Canine Gastrocnemius Tendon Implant, Mark A. Morton et al. 2015, Davies Veterinary Specialists, UK

The article talks about the production of scaffolds by human fibroblasts and testing of their mechanical properties. The three dimensional scaffolds were decellularized and tested on an E1000, proving that the resistance of the tissue was not compromised after the cells were removed.

Mechanical Properties of Endothelialized Fibroblast-Derived Vascular Scaffolds Stimulated in a Bioreactor, Maxime Y. Tondreau et al., 2015, Université Laval, Québec, Department of Surgery, Faculty of Medicine, Canada

This comparative biomechanical study is about analyzing the properties of an innovative fixation device used for acetabular fracture and comparing it with several different techniques. The biomechanical properties were assessed using an E10000 Test Instrument measuring load for specific displacements, displacement for specific load and stiffness.

A Novel Fixation System for Acetabular Quadrilateral Plate Fracture: A Comparative Biomechanical Study, Guo-Chun Zha et al. 2015, The First Affiliated Hospital of Soochow University, Orthopaedic Department, China