バイオメディカルニュース

第2号

バイオメディカル分野での疲労試験実施における、ひずみ測定の課題

疲労試験において、ひずみ測定が良く行われるようになっていますが、バイオメディカル分野でデータ採取するのは、非常に難しいものになります。以前は、通常、材料試験システムにおけるひずみ変換器、または接触式測定デバイスに頼るしかありませんでした。両者とも、一貫性がない、早期の試験片破断を生じる、セットアップに時間がかかる、などの欠点がありました。これは、荷重と変位には注目するがひずみを無視した多くの企業で起こっていました。これらの企業では、結果の有効性に確信が持てず、採取したひずみデータを活用することに苦労していました。 試験システムを使ってひずみを測定する場合、主に2つの課題があります。1)単に試験片のひずみを測定するだけでなく、試験システムと冶具の適合性も考慮する必要があります。2)材料の新しいデータを採取する上で、あるいは様々な条件下で部品がどう挙動するかを知る上で、試験片あるいは部品の特定の領域に注目する必要がありますが、それが必ずしもできないことがあります

以前は、これらの課題を克服する唯一の方法は、試験片の均一な表面領域について直接測定する接触式デバイスを使うことでした。しかし、デバイスがどのように試験片と結合するか、20Hzまでのサイクルにおいて接触を維持できるか、などのことに関連した別の問題が発生していました。デバイスが試験片上を滑るといった動きがおきるため、データの信頼性が失われることがありました。さらに悪い結果として、デバイスのナイフエッジにより、試験片が早期に破断してしまうことがありました。こうしたことからも、多くの企業がひずみ測定を無視し、荷重と変位のみに頼ることになりました。

今日、新しい時代になり、ひずみデータを採取できるだけでなく、これを試験過程におけるひずみ制御の手法として用いることが可能になっています。非接触式測定デバイスにより、試験片の早期破断(これまで接触式デバイスのナイフエッジにより引き起こされていました)の危険性を排除しつつ、直接的に試験片のひずみ測定ができるようになりました。更に、非接触式デバイスにより、試験データの有効性のため必須である再現性が改善されるとともに、色々な標点距離やひずみに対応できるデバイスの迅速かつ簡単なセットアップが可能になっています。この結果、多種の接触式デバイスが必要な場合と比較すると、著しい時間とコストの節約になり、製品を市場化するまでの時間スケールを短縮します。

Testing Nitonol Wire at 1 Hz on an ElectroPuls Test Instrument サイクル試験と高速試験において、軸方向および横方向のデータを採取する場合、非接触式デバイスの信頼性は、ユーザーに次第に浸透しつつあります。非接触式デバイスと試験ソフトウェアの一体的融合により、ひずみと荷重の同時採取が可能になります。バイオメディカル市場分野で使われる材料と部品について、より多くの情報が益々求められる現在、この開発は大きな前進と言えます。

ASTM F2516-14に従った、ニチノール・ワイヤの単純サイクル試験用の伸び計の選択

ニチノールはニッケルとチタンからなる合金で、医療業界で広範囲に応用できる用途が知られています。ニチノールは2つの独特の性質、形状記憶と超弾性を発揮します。ニッケル‐チタン合金ワイヤの引張り試験に対する国際規格が、ASTM F2516-14です。この規格の狙いは、上部プラトー強度、下部プラトー強度、永久伸び、引張り強さ、破断伸びについて決定するのに必要な、機械的試験について解説することです。ニチノール・ワイヤを試験する上での主な課題は、ひずみの正確な測定です。ASTM F2516-14は、0.2mmより大きい直径のニチノール・ワイヤに対して、ASTM E83-10a Class Cまたはそれ以上の精度で校正された伸び計を使用することを求めています。

一般的に、ニチノール・ワイヤの試験に対しては、3種類の伸び計の選択が可能です。1)クリップ式伸び計、2)ビデオ伸び計、3)接触式自動伸び計。

Stress vs Strain Results Using Different Extensometry for Testing Nitinol Wire to ASTM F2516-14

クリップ式伸び計は、ニチノール・ワイヤの試験にしばしば用いられます。しかし、クリップ式伸び計の重さにより、試験片の早期破断が起きる可能性があります。加えて、破断に至るまで、クリップ式伸び計を試験片に取り付けておくと、伸び計の直接的な破損を招きかねません。クリップ式伸び計は、雰囲気チェンバーまたは温度制御された筐体において、体温におけるひずみ測定する場合には有利ですが、一方、ビデオまたは接触式自動伸び計は、より頑丈な方式になると言えます。

非接触式伸び計としても知られる、ビデオ伸び計は、試験される材料に直接取り付けられることはありません。その代わり、ビデオ伸び計は、ひずみを探知するために2つの標点を使い、伸び計が試験片の早期破断を起こす可能性を低減できます。加えて、ビデオ伸び計は、高温においても、また浴中試験のように完全に水中の条件においても、ひずみ測定が簡単にできます。しかしながら、ビデオ伸び計を使うひずみ測定についても、関連する問題があります。試験片の直径によっては、ニチノール・ワイヤにマークを付けるのが難しくなります。さらに、ASTM F2516-14は、試験片に対して周期的に負荷と除荷を繰り返すことを求めています。時折、除荷の過程で、ワイヤが外向きまたは内向きに張り出すことがあり、評点がビデオ伸び計の校正された平面から出たり入ったりしてしまいます。これを肉眼で見ることは、非常に難しいことがありますが、この問題の兆候があるとすれば、永久伸びの結果が予想を超えてしまうことと、応力ひずみ曲線の異常なノイズです。

人為試験(vitro)が要求されていない場合は、接触式自動伸び計によるひずみ測定が、断然に最適な選択です。カウンターバランス・アームによる接触式自動伸び計は、殆ど摩擦のないガイド機構により作動し、試験片の早期破断を防止します。カウンターバランス・アームによる接触式伸び計の選択は、ワイヤのように繊細な材料を試験するとき、特に重要です。接触式自動伸び計を使う、もう1つの利点は、負荷と除荷の過程における、試験片の張り出しやねじりによって影響されずに、正確なひずみ測定ができることです。この種類の伸び計は、標点距離と伸び計の初期位置が自動的にセットされ、オペレータ要因による潜在的な変動を回避できるので、ひずみ測定に最も高い再現性をもたらす傾向にあります。加えて、試験の全過程で正確なひずみ測定を維持できるとともに、伝統的なクリップ式伸び計と異なり、接触式自動伸び計は最終破断まで試験片に取り付けたままにしておくことができます。

ASTM F2516-14によるニチノール・ワイヤ試験では、永久伸びと破断伸びなどの結果を決定するうえで、ひずみ測定は極めて重要です。全ての伸び計に利点と限界がありますが、接触式自動伸び計は、試験片の早期破断と試験片の張り出しやねじりに関連した測定誤差を最小化する上で、最良のツールとなるでしょう

有限要素解析法と2Dデジタル画像相関法の比較

有限要素解析法(FEA)は、全ての産業分野で益々重要なツールになっていますが、バイオメディカル分野では特に、色々な負荷ケースにおける部品の応力プロフィールを解析するのに重要です。FEAソフトウェアは、部品をより単純なサブコンポーネントにメッシュを切り、各サブコンポーネントに対して一連の要素方程式を作成して、完全な解を得るために方程式を再結合させることにより、応力プロフィールを作成することができます。技術的に正確であるにも関わらず、得られる結果と、実際の試験で見出される結果との間に、確実に不一致があります。例えば、部品の機械加工におけるばらつき、材料変動、試験の環境条件が、全て結果に影響します。この理由により最近、FEAで得られるデータと、実際との比較を追求する努力が成されています。

現在の段階で、このような比較について認められている方法は、ひずみゲージを用いた方法です。事実、ASTM F04は本年3月に、特に膝大腿骨部品の試験を解説する、新規格F3161を公開しています。この規格は独自の研究を実施し、FEAとひずみゲージの解析は10%以内で相関があることを見出しました。ひずみゲージは、セットアップが難しく、部品に適切に応用するには、顕著な時間と経験を要します。インストロンは、デジタル画像相関法(DIC)を用いて、FEAと比較できる代替方式を追求してきました。DICソフトウェアはビデオ伸び計を活用して、負荷されている試験片におけるひずみ場をマッピングします。ソフトウェア内で、実際のひずみマップが作られて、FEAの結果と視覚的に比較できます。

DIC Specimen

図1:試験前の、斑点をマーキングされた試験片

FEAとDICの間で比較試験をするため、一般的な寸法の脊髄骨折固定プレートを模擬する専用部品が設計・機械加工されました。SolidWorksに挿入されているモデリング・ソフトウェアを使い、標準的な一軸負荷状態で経験される特定の荷重条件を反映させて、材料の応力マップを作成しました。その後、DICソフトウェアが試験片のひずみを探知するのに必要な斑点が、試験片にマーキングされました。斑点の位置の増分変化を測定することにより、ひずみを探知できますが、試験は最終破断まで実行され、荷重は約28kNのピーク値に達しました。試験の後、事後処理がDIC内で完了されました。

SolidWorksのFEAパッケージは、他のFEAソフトウェア・パッケージと比較すると限界があり、ひずみマップを作成できるDICとは反対に、応力マップしか作成することができません。ひずみは試験片における応力が直接的な原因であることから、それらは直接的に相関し、大概の場合、良く整合します。このコンセプトによる将来の試験では恐らく、もっとしっかりしたFEAソリューションが使われるでしょう。両方のマップは、試験片の降伏の後、荷重25kNにおいて最も良好な結果が得られました。

Strain Mapping from DIC Analysis

図2:DIC解析によるひずみマッピング

Stress Mapping from SolidWorks Analysis

 図3:SolidWorks解析による応力マッピング

事後処理の後、得られたマッピングにより、図に認められるように、類似した応力集中とひずみ集中の結果が得られました。両方の解析において、試験片形状によって導かれる、同様のパターンが見出されました。興味深いことは、DICの2Dマッピングで認められる最大の応力集中は、SolidWorksで実施された3Dマッピングを見たときにのみ、明確になったことです。この試験は、探索的な性格を持つものであり、どの程度、DICがコンピュータ・モデリング・ソフトウェアに一致するかを確認するものです。初期の試験はコンセプトを立証できました。今後、DICの能力を更に調査するために、試験を行っていきます。

お客様レポート:ゲント大学

 ゲント大学は、単に学術的なアプローチだけでなく、実用的最終的な用途の観点から、先端材料に対する鋭い興味を持ち、広範囲の材料や、新しい製造プロセス、応用開発を含む研究に注力しています。研究室のニーズは、産業界における中核的なバイオメディカル分野の部品の、できるだけ実際の使用に近い状態における評価試験でした。重要なことは、多くの分野において、動的試験を必要とする産業界のニーズに、確実に合致させることでした。 大学の研究チームの1つが大変に驚いたという、有益なシステムについては、こちらをお読みください。

英国整形外科研究会との連携により、バイオメディカルソリューションを認識

最近、BORS(British Orthopaedic Rsearch Society)と連携して、バイオメディカル分野の色々なソリューションについて討議しました。ワークショップでは、理論的および実際的なアプローチとともに、インストロンのHigh Wycombe応用研究所における体験的実証試験について討議しました。全参加者が、次のディスカッションに参加しました。
  • ポーツマス大学のGianluca Tozzi博士による「骨のひずみと変位の3次元測定」
  • UCLのHelen Birth教授とQMULのChavaunne Thorpe博士による、「筋骨格の柔らかい組織の材料特性測定」
  • インペリアル・カレッジのRichie Abel博士による「骨質の測定」
BORS Workshop

BORSのバイオ・ワークショップに参加していただき、有難うございます。

Webinar: Common Sources of error in biomedical testing

In the medical device and pharmaceutical industries, data accuracy is incredibly important.  Watch the webinar below for the most common areas overlooked in testing that could lead to inaccurate or misleading results.







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ひずみ測定について

Strain Measurement Solutions for Biomedical

関連リンク

プレゼンテーション

Challenges in QC Medical Device Testing







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