バイオメディカルニュース

ASTM F3014-14に従った、外科用縫合針の挿入試験

針の挿入力は、特定の医療行為に対する、針の性能や使い勝手を評価する上で、重要な特質です。Ethiconの主席技術者でASTM F04のメンバーであるEric Hinrichs氏によると、次のような状況では、低くて一貫性のある針の挿入力が特に望まれています。
  • 外科医が針を操作する空間が限られている
  • 針が、厚くて硬い組織を貫通しなければならない
  • 外科医が、血管や繊細な器官を避けるため、針を正確に制御しなければならない
参考出典:ASTM News

多くの外科用縫合針は、適用条件に応じて、針の耐久性や潤滑性を高めるためにコーティングされています。しばしば、耐久性を高めるコーティングは潤滑性を損ない、同様に潤滑性を高めるコーティングは耐久性を損ないます。様々な針のコーティングについての定量的かつ比較可能な測定は、針が使用中にどのように挙動するかを、針のメーカーが理解するのに役立ちます。
2014年にASTM F3014が公開されましたが、多くの針のメーカーは長年、湾曲した針の挿入力を定量化してきました。注射器に使われる針と異なり、外科用縫合針は湾曲し、臨床医が傷を閉じるために、より大きな融通性を与えられています。過去10年間、インストロンは湾曲針の幾つかの主要メーカーと密接に連携して、湾曲針の専用試験システムを開発してきました。


現在、ASTN F04は、針メーカーが最適な針挿入媒体を選択する方法について、方向づけする将来の規格に関して検討しています。現行の規格の一部において、外科医療における使用をシミュレートするため、針は選択された媒体に長期間一貫性を持って貫通できることが求められています。
針の挿入力を良く理解することを通じて、針メーカーは、針の潤滑性と耐久性を最適化するのに加え、針の強度や剛性などの他の材料特性も最適化しなければなりません。針の強度を最適化する際、メーカーは可能な限り針を細くするとともに、同時に曲げに耐えるよう充分に高剛性にする一方、破断抵抗性を保つよう充分に高延性にしようと努めています。同様に、ASTM F1874-98 (2011)は、外科用縫合針の曲げ試験方法の規格を概説し、針の降伏曲げモーメントと最大曲げを定量化することに役立っています。両方の規格に適合する試験は、インストロンの湾曲針試験システムで可能です。

取り複雑に曲がった経路に取り込まれたガイドワイヤーとカテーテルの摩擦力の定量化

大腿動脈は、人間の心臓にアクセスできる、最も簡単で安全なルートの1つであります。例えば、冠動脈形成術、即ち心臓動脈の血栓や閉塞を開放するのに行われる医療が必要な患者の場合、心臓へのアクセスは大腿動脈を通して得られます。一般的に、この医療は、大腿動脈の位置を確認し、血管造影針を挿入、血管造影針の中をガイドワイヤーを通し、血管造影針の除去、カテーテルをガイドワイヤーに沿って挿入することが必要です。ガイドワイヤーは、その後、カテーテルを動脈の血栓や閉塞に導くために使われます。カテーテルは、その先端に収縮したバルーンがあり、ステントを収縮したバルーンの回りに設置することができます。ステントは、体の中を動脈の血栓や閉塞まで導かれ、そこでバルーンが膨らみステントを広げます。ステントが留置され動脈が広げられると、バルーンは収縮し、カテーテルとガイドワイヤーは体外に引き抜けられます。

誰でも想像つくように、ガイドワイヤーとカテーテルが辿る経路は、多くのねじりや回転があるので、曲がりくねった経路と言えます。カテーテルとガイドワイヤーは共に、コーティングされ潤滑化されて、曲がりくねった経路に沿った摩擦力を低減し、その結果、体内をカテーテルとガイドワイヤーを押したり引いたりするのに必要な力を低減します。

インストロンは、ゲント大学と共同で、標準的な5944万能材料試験機を使い、患者にカテーテルを挿入する外科医の行為をシミュレートする簡単な手法を開発しました。このシミュレーションの目的は、曲がりくねった経路に起因した摩擦力を定量化することです。

試験機は水平に設置され、動脈を模擬する曲がりくねった経路に、カテーテルを押し込むのに、空圧グリップを使います。カテーテルが経路に押し込まれた後、空圧グリップはカテーテルを開放し、クロスヘッドは最初の出発点に戻り、また空圧グリップはカテーテルを再び掴み、このサイクルを繰り返します。カテーテルを押し込む機構は、スピードアップまたはスローダウンして、外科医の行為をより良くシミュレートします。

University of Ghent     University of Ghent

 外科医療における摩擦力を定量化する万能試験機の利用は、ガイドワイヤーとカテーテルの試験に限りません。摩擦力の測定を必要とする、外科以外の応用には、内視鏡検査、鼻鏡検査、大腸内視鏡検査などがあります。

実際の使用条件をシミュレートした、ガイドワイヤーの曲げ試験

様々な産業において、設計、製造、研究した材料の性質についての情報を得るために、機械的試験を実施する必要があります。これは、航空機の部品から人体の整形外科デバイスまでの材料にわたります。どのような条件で耐久性があるか、およびライフサイクルを通じてどのように変化するかは、各々の材料によって顕著に異なります。材料の可能性と限界を完全に理解するために、試験機が実使用条件を再現できることが重要です。それに加えて、色々な形状やサイズ、剛性の材料について、1つの試験機が簡単にセットアップできることは有益であります。従って、試験機の多用性は重要なキーポイントです。


非直線のバイオメディカルガイドワイヤーの試験の場合、試験片は、ElectroPuls E1000試験機に取り付けられた3点曲げ冶具に配置されます。試験機には250NのロードセルDynacellが設置され、荷重ピークを1Nおよび11Nとする、周波数10Hzの圧縮モードで試験されます。


BioNews Dynamic Bend Test
WaveMatrixソフトウェアの2つの特別な機能が活用され、試験過程を通じて精度と制御が保証されます。
  1. Automated Tuning Wizardは、ロードストリングの剛性を測定するために、簡単なランプ波形を使います。これにより、選択された試験片材料と寸法に対して、試験機の作動と制御を最適化するよう、ゲインの設定が決定されます。数回のクリックだけで、試験機は調整でき、試験開始可能となります。
  2. 非直線の試験片を試験するときは、ピーク荷重を確保することが重要ですが、困難な場合があります。インストロンのAdvanced Amplitude Controlと呼ばれるソフトウェアの、もう一つの機能は、各サイクルでピーク荷重が確保されて望ましい引張り荷重が達成されることを保証します。これがないと、試験が進行するとともに、ピーク荷重は、望ましい引張り荷重以下に低下する可能性が高くなります。この機能は、試験片の剛性が変化しても、調整を確実に行います。

下記の図は、非直線のガイドワイヤーの正弦波形を示します。ピーク荷重は、一貫して高い確度で達成されています。これは、ElectroPulsが、難しい材料を試験するときにも、実際の使用条件を再現する上で、優れた制御を提供できることを示す、良い例になっています。

Non Linear Specimens Graph

ゲント大学でのインタビュー

インストロンは長年に渡り、ベルギーのゲント大学と提携し、大学の幅広い試験ニーズに対応し、材料試験装置を納入してまいりました。

ゲント大学の助教授であるMatthieu De Beule博士にインタビューする機会を得ることができました。Beule博士の研究室は、医療分野における生物流体、組織、固体力学に注目しています。

「我々は、机上のデバイス開発から、ベッド上の臨床診療まで、シミュレーション技術を駆使しています。この研究で重要な、1つの要素は、モデルの検証です。そこでは、インストロンの装置が最も重要です。」と、Beule博士は語っておられます。

このインタビューの全内容は、こちらをお読みください。

カテーテルを体温で試験するー温度は本当に重要なのでしょうか?

材料の試験を体温で実施することは、常温の場合と比較すると、機械的性質に顕著な影響を与えます。高分子材料の場合、特にこれは重要です。

高分子製の医用チューブに、温度が与える影響について定量化するため、40個の押出成形されたポリエチレン製のカテーテルについて、引張り試験を実施しました。20個の試験片については28℃(82.4°F)のほぼ常温で行い、残りの20個については37℃(98.6°F)の体温で行いました。これらの温度を正確に維持するために、BioBoxが使用されるとともに、相対湿度は試験中、25%と30%の間で一定に保たれました。

結果:ポリエチレン製カテーテルを37℃で試験すると、28℃で試験した場合に得られた平均結果と比べ、剛性と最大力は低下し、破断における伸びは増加しました。

Temperature Graph
平均結果±標準偏差  28°C  37°C 
  剛性率 (MPA) 26.34  ±  0.45
19.5 ± 0.48
  最大力 (N) 16.62 ± 0.54 15.02 ± 0.42
  破断伸び (mm)  525.12 ± 35.10 532.22 ± 32.98