プラスチックニュース

第1号

規格準拠(ISO 527とASTM D638)に違反となる、よくある間違い

当社は近年、規格に沿った試験を行わない試験者が増加傾向にあると感じております。その大半の原因は、規格の誤った解釈や、試験者が規格の変更を知らなかったことに起因しています。その結果生じる以下の影響に関するご相談が増えております。

  • 審査での不合格
  • 時間のロス
  • 生産の遅れ

本記事では、規格準拠の違反、特にISO 527-2に関連した違反の最も一般的な原因のいくつかを紹介します。

ISO 527-2に苦労する試験室の多くは、ASTM D638に対応した試験も実施していますが、これは偶然ではありません。これらの規格は非常に良く似ているように見えますが、微妙ながらも明確な違いがあり、技術的に同等とは言えません。このような違いを認識し理解できないことが、多くの混乱の源になっているようです。以下に挙げた項目は、ISO 527において最もよくある5つの間違いを明示しています。

527 Common Mistakes

5つのよくある間違いの内、最初の4つはASTM D638にも該当します。ASTM D638に特有の5番目の間違いは、上記の#3と類似していて、不適切な試験片測定器の使用に関係しています。ISO 527-2と異なり、先が平坦なアンビルが要求されていますが、未だ多くの試験室は球状アンビルのマイクロメータを使用しています。これは、ISO 527の試験に慣れた試験室では特に習慣的に使用されていると思われます。  

ASTM D 638 Common Mus

ISO 527-1 / ISO 527-2 2012の変更

2012年に、これらの規格にいくつかの重要な変更がなされ、そのうちの4つは、これらの規格をさらに区別する結果となっています。すなわち、両規格で以前は共通であった要求が、現在は異なっています。 

変更点1: 弾性率の定義  

規格の旧バージョンは、明確にヤング率を指していましたが、2012年に「ヤング率」は「引張弾性率(弦(Chord)として計算するか、または弧(segment)として最小二乗法を用い計算する)」に置き換えられました。様々な種類の弾性率計算方法の違い及び、どのように計算されるかについて理解することは重要です。BluehillⓇソフトウェアの場合、従来の「ヤング率」計算はもう受け入れられず、正しい選択は弦(Chord)または弧(segment)として解析する方法のどちらかになります。

変更点2 :降伏点を持つ材料における引張強さの定義

ASTM D638と同様、ISO 527の旧バージョンでは、引張強さは試験における最大応力と定義されていました。しかし、2012年に、その記述は“最初の局所的な最大値”と変更されました。大半のプラスチックは降伏点を持つか、または不均一な歪分布を持つので、この変更は、強度の結果に顕著な影響を与える重要な変更となります。この変更は、降伏点を示さないプラスチックには影響を与えません。

Stress Strain

    変更点3:公称歪を決める新しく代替され、また推奨される方法

    この場合は、公称歪の旧い方法や定義は置き換えられません。新しい方法が導入され、推奨方法として認定されました。旧来の方法であるMethod AはASTM D638と同一であるのに対して、新しい(推奨される)方法であるMethod Bはかなり異なります。各々の方法は異なる結果をもたらす可能性があるので、それらの違いを理解することは重要です。

    Method A(~ASTM D638):公称歪は、クロスヘッドの変位を用いて計算される。

    Method B: 公称歪は、降伏点までは伸び計を用いて計算され、その後はクロスヘッドの変位を用いて計算される。二つの歪は加算される。

    変更点2と同様、この変更は、降伏点を持つ材料にのみ適用されますが、多くのプラスチックがこれに該当します。

    変更点4:試験速度

    最新バージョンでは、一つの試験では一つの試験速度しか許されない、という制約は取り除かれ、弾性率と破断歪を一つの試験で測定できるようになりました。ASTM D638では、依然として、一つの試験では一つの試験速度に制限されていることに注意する必要があります。

    変更点5:多目的型試験片における標点間距離

    多目的型試験片における標点間距離は、50 mmから70 mmへ変更されました。それまでは、ASTM D638およびISO 527-2ともに、推奨された試験片型に対して標点間距離50 mmを使用していました。従って、これもまた、かつては類似だった規格が大きく異なるようになった例であります。しかしながら、要求が変わったにも関わらず、過去データを参照するため、品質管理グループに対してのみ標点間距離50 mmは許容されていることに注意する必要があります。

    ISO 527-2に準拠するにあたり、最も難しい要求の一つは、弾性率を測定するときの伸び計の精度についての要求です。この難点は、そもそも標点間距離を変更する理由になっています。何故なら、標点間距離を大きくすると、精度についての要求が緩和され、要求達成が容易になるからです。

    プラスチック・ニュースの次号では、ISO 178に関連した変更や難しさについて紹介します。

    効率の向上:より短時間で結果を得る

    試験室の管理者が試験分野において向上を求める2つの領域は、通常、より高い効率と処理量です。より早く効率の高い試験は、しばしば試験費用の削減に繋がるだけでなく、規格外または「不良品」を製造してしまうことに関わるかなり大きいコストを防止するか極小化することもできます。試験装置が製造ラインを支援するように用いられていれば、得られた結果は、しばしば、製造プロセスラインの管理者にフィードバックされ、製造ラインにおける重要な意思決定に必要な情報をもたらします。不良品が発生している場合、これらは様々なパラメータの調整や、ラインの緊急停止も含むことになります。対応が早ければ早いほど、「不良品」の発生量が減少し、時間と費用が削減されます。効率を向上する方法は、手順の変更、製品の若干の変更、さらには個々のプロセスまたはプロセス全体の自動化など、多岐にわたります。

    当社の多くの試験室の訪問や調査実績、ヒアリングからも、試験における最も非効率な部分は試験片測定に関連する、と言えると確信しています。試験片測定は、忍耐が必要で、時間がかかり、特に企業が潜在的な機能を使ってないかまたは理解していない場合、非常に誤差を生みやすくなります。大半の試験室は、今日、一般的なマイクロメータやノギス、そして電卓とノートに頼っています。測定が行われて書き込まれ(または表計算ソフトに打ち込まれ)、そして平均化されて手作業でソフトウェアにインプットされます。一つの試験片に対して、6個の個々の測定が含まれ、これは42回(10個の試験片を測定するときは420回)のキー操作に匹敵します。

    多くの方がご存じないのですが、マイクロメータは試験システムに組み込み統合でき、測定結果を自動的に平均化してソフトウェアにインプットするようにできます。この機能は、全てのBluehillソフトウェアでは標準となっています。Bluehill packages

    統合されたマイクロメータ、即ち皆様のPCに実際に接続されたマイクロメータを利用すると、前述した42回のキー操作は7回になり、420回のキー操作は70回になります。この結果、キー操作回数と間違ったデータ入力の確率は6分の1になります。時間的には、1回の試験当たり1分削減でき、試験時間の長さにもよりますが、全体的なサイクルタイムを50%も減らすことが可能になります。

    この点を実証するために、同一の材料を同一の規格で、ただし異なるセットアップで各々試験する対照比較試験を行いました。このビデオでは、統合されたマイクロメータや他の高効率な装置を装備しているシステムが、普通のセットアップに対して比較検証されています。このビデオから、効率向上が可能な分野と、時間節約への可能性を感じ取っていただけると思います。

    どのくらいの頻度でオペレータ名・日時・試験片条件の情報・材料の種類などの同じ情報を、試験報告書に書き込みますか? 

    このような全ての手順やキー操作は、時間がかかりますし、タイプミスや誤りの確率を高めます。従って、可能な限り手順を少なくすることが有益です。Bluehillソフトウェアを使えば、これらのインプットの多くは、自動的に報告書に取りこめることができ、それ以外は、「選択インプット」として機能的なプルダウン・メニューから、通常同じ種類の情報を繰返し書き込む場所に、情報を置き換えて取り込むことができます。選択インプットや置き換えの自動的な記入は、時間を節約し誤りを減らし、試験後データを分類しやすくします。

    その他にもどのようなことで時間節約ができるかについて当社にご相談ください

    • (手動の試験片グリップを使う場合)グリップを開閉するのにかかる時間
    •  試験片をグリップと軸あわせするのに要する時間
    • 試験片に手動で伸び計を取り付けるのに要する神経と時間
    • 伸び計を取り外して試験を続けることができるまで、試験機のそばで待機する時間

    グリップや付属品の選択(空圧か手動か)とともに、伸び計の種類(手動か自動か)の選択は、全体的なサイクルタイムを50%減らせる可能性があります。ケーススタディや前述したビデオでは、このような点を全て実証しています。

    工業プロセスと材料レオロジーの間の差異を埋める

    正しくモールドに充填されてないことの影響について考えたことがありますか?

    プラスチックは多様に用いられますが、どのように機能するか、どのように見えるかは、消費者と製造者の双方にとって重要です。機能と美観を確実に最適化するため、製造者は正しい材料を選択し、適切な機械を設置し、どのように製造するかを理解することができなくてはなりません。これを効果的に達成するためには、材料の正しいレオロジー挙動を理解することが必要です。

    熱可塑性材料は成形工程を通るので、モールドへの充填、押し出し、ブロー成形技術により、流体として加工処理されます。このような工程における流動特性は複雑で、多くの因子によって影響を受けます。熱可塑性プラスチックの原料から最終製品までの変化を調査し観察するには、レオロジーの測定が必須です。

    製品や設備を設計する際、寸法や公差を正しく設定することが非常に重要です。選択した材料が期待通りの性能を示すか、どの程度確信していますか?

    レオロジーにおける関係性は、プラスチックの性質を理解するのに役立ち、プラスチックがどのような挙動を示すか、またはどのような挙動をさせることができるのかを知ることができます。レオロジーと製品との間に相関関係があるので、材料のレオロジー測定は、色や密度、安定性、添加剤の効果、分子量などの変化を感知する、最も感度の高い便利な方法であります。

    レオロジー測定をするのに苦労されていませんか?

    メルトフローレート(MFR)とメルトボリュームレート(MVR)は重要な特性であり、これにより、納入される材料を確認し、また適切な材料供給者を選択することができます。しかしながら、この種の試験は、時に充分と言える情報を与えてくれないことがあります。企業が工程上の問題に直面したとき、異なった試験手法、即ちレオロジー試験の必要性に気付くことになります。

    CEAST

    レオロジー試験は、様々な変形速度や温度におけるプロセス条件を再現することができます。押出し機において、温度は一定に保たれますが、バレルに沿ったスクリュー回転速度が変化するため、速度は変化します。射出成形においては、材料をモールドの中に急速に注入することにより、スクリューはピストンのような働きもするので、バレルの長さ方向に沿って温度と速度も変化します。レオロジー試験を行うことにより、温度を設定し様々な変形速度における粘性を測定することができます。

    研究開発においては、キャピラリーレオメーターが溶融高分子の挙動についての追加的な情報を与える機能を持っています。特色のあるオプションの付属品とソフトウェアが用意されており、レオメーターの試験機能を高めることができます。

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    Q&A: メルトフロー試験

    Q: 私の部長が生産性を向上させるため、今利用しているプラスチック材料を変更することを提案しています。しかし、ISO 1133-1に従って何回かのメルトフロー試験を行った結果、ある問題に直面しています。それは、検討中の新しい材料が時間‐温度に対して非常に敏感なレオロジーを示すのです。どうしたら良いか、アドバイスをお願いします。 

    A:2011年に、熱的感受性の高い材料に対する適切な試験方法を提示したISO 1133-2が公開されました。今までとの主な違いは、温度公差に関する要求にあります。ISO 1133-2は、ISO 1133-1よりも厳しい温度公差を規定しています。全温度範囲において、バレル全体に沿って±0.3℃の温度公差を提示しており、その結果、非常に再現性のある正確な測定ができます。

    CEAST Melt Flow

    Q: 同じサンプルについてメルトフロー試験を違うタイミングで行った場合、一致しない結果が出るのは何故でしょうか?

    A: ASTM D1238-Method”A”に従ってメルトフロー試験を行う場合の最も大きな危険性の一つは、ヒューマン/オペレータに起因する変動性にあります。オペレータは、試験の状況を毎秒正確に監視しなければなりません。それは、必ずしも可能とは限りません。この変動性は、ASTM D1238-Method Bに切り替えることによってなくすことが可能です。Method Bでは、ディジタル・エンコーダが使われ、ピストンの運動を正確に測定し、サンプルの再現性のあるメルトボリュームレート(MVR)とメルトフローレート(MFR)を記録します。しかしながら、オペレータのエラー以外にも、材料準備の変動や、システムの清浄性、予熱時間も、一貫性のない試験結果を引き起こす要因になります。

    Q:メルトフロー試験システムを使って数年になります。私の装置は頑丈で、きわめて簡単であり、満足できる作動状況を示しています。この装置の較正とメンテナンスは、どの程度の頻度で必要ですか?

    A:一般的に、メルトフローは、品質保証/品質管理における試験で、最も普遍的に用いられていて、この場合、装置が正確に作動することが極めて重要です。メルトフローシステムはかなり基本的であり、また、全てのインストロンの装置は品質管理分野での厳密な使用に耐えるよう設計されていますが、ASTM D1238規格とISO 1133規格の最近の改定が、±0.3℃という非常に明確な温度公差を規定していることを考えていただく必要があります。メルトフロー装置における、毎年の温度較正とともに、ピストンやバレル、ダイの寸法を確認する毎年のメンテナンスを推奨します。もし、ダイやピストンに欠けや変形を視認したときは、試験結果に大きな影響が生じますので、これらの部品を直ぐに交換してください。