プラスチックニュース

第2号

試験結果を管理する

試験結果に影響を与える多くの因子を理解することは、試験室環境にとって重要です。オペレータの経験に関係なく、材料試験に関する広範な理解、特に否定的にしろ肯定的にしろ結果に影響する因子に関する理解を持っている人はほんのわずかです。これは単に考慮すべき変動要因が多いためであり、多くの場合、このような要因は、試験の枠組み、何が試験されているのか、試験の種類などに依存して変動します。これらは、特に変化が当たり前な試験室環境では、追跡することが難しいです。

このような認識を持っていれば、結果が疑わしい状況で、試験室およびオペレータが何時間もの不必要な試験や費用を無駄にすることから救ってくれます。これらの不必要な試験や費用は何よりも、通常、第三者試験機関などを巻き込んだトラブルシューティングや実験から発生します。試験結果の遅れが不良品の製造を引き起こすような品質管理環境では、時間は唯一最大の重要因子です。研究開発部門や委託試験機関において、試験片にはしばしば限りがありまた非常に高価なため、再試験はとても嫌がられます。

データの変動が大きいことによる最も有害な影響の1つは、おそらく、結果に対する、試験室オペレータと顧客からの信頼性の低下です。製品が不良品であるかどうか明確には分からないため、意思決定を複雑なものにもします。再試験をすべき?プロセスをいじるべき?何かまずいことをやっている?これらは、答えを必要とする、難しいいくつかの問いです。ただ、朗報は、一旦要因が認識されて理解されれば、再現性をもつ正確な結果を得るのは、一般に考えられるより容易になります。

結果に影響する因子

後述するように、大きな変動のよくある原因は、不適切な予荷重または予荷重をかけないこと、試験片のアラインメントが一定していないこと、伸び計の取り付け方が一定していないことなどがあり、これらは、アラインメント調整のみならず、試験片に負荷される力にも影響を与えます。

Most Common

あまりはっきりしているわけではありませんが、結果に影響する因子として、オペレータが試験片を取り扱うときに、指による熱があります。「熱い」指のオペレータと「冷たい」指のオペレータの二人についての研究を行いましたが、いくつかの材料に対しては、最大伸びや降伏応力の結果に明らかな差異がありました。

さらに、試験前の試験片保持時間が一定でないと、変動を起こし得ることが分かっています。この因子に対する解決方法には、手袋の着用、試験片取り扱い時間を短縮する高能率の付属品の使用、例えば、空圧グリップや統合型試験片測定装置、完全自動システムなどの使用があります。

このような全ての因子に対して、簡便で効果的な解決方法があります。それらには、試験片アラインメント補助具から自動的な取付け、予荷重の追加があり、そして全工程においてオペレータをガイドする支援ビデオの導入があります。

自動車用途における高機能高分子

耐熱性と強度、そして軽量化を同時に達成できることから、自動車市場における高機能高分子の消費量は急速に拡大しています。特に、合金部品を代替するために用いられています。しかしながら、このような高分子は、高温における機械的性質を如何に維持しているでしょうか?

この質問に答えるには、高分子の熱機械的性質を評価することが重要です。既に知られているように、熱可塑性プラスチックは固体から流体への遷移を定義する厳密な融点を持っていませんが、温度上昇とともに緩やかな軟化現象を示します。そこで、自動車用途に最も適した材料はどれでしょうか?

多くの企業が種々の用途に対して、高機能高分子(PEEK、PPS、PEI等)を製造していますが、これらの材料は製造コストが高くなります。間違いを避けコストの問題を緩和することを目的として、顧客は種々の製品の違いを判別して自動車に最適なものを選ぶために、全ての材料技術データシートに報告されている、荷重たわみ温度(HDT)とビカット(Vicat)試験値を考慮することが望まれます。

Vicat Softening Point Test







ビカット(Vicat)軟化点試験

ISO 178の変更:どのよう荷重たわみ温度(HDT)とビカット軟化温度(VST)は、通常、高機能高分子が高温において機械的性質を保持する能力を評価するために測定されます。このような種類の解析は、材料の品質を管理するとともに、開発ツールとして有用な情報を提供するのに役立ちます。HDTとVSTが高ければ高いほど、製品の適用範囲は大きくなります。一方で、温度がHDTやVSTより上昇すると、永久変形が報告され、たわみや表面欠陥が発生します。

インストロンのHVシステムは、主要な国際規格(ISOとASTM)に完全に準拠して、HDTとVSTの測定が可能です。スタンドアローンとして用いても、また装置を管理し最終結果を解析することを可能にするソフトウェアとともに用いても容易に使えます。インストロンは、最も単純な手動または半自動モデルから、オイルを使わない高温用モデルまで、また試験室の試験ニーズに応じて3ステーションから6ステーションまでの、種々のモデルを提供することができます。

ISO178の変更:どのように解釈されているか

過去数年にわたり、ISO 178にはいくつかの変更が行われてきましたが、それらの変更を認識していることは、試験室が審査に不合格となるかどうか、あるいは規格に準拠していると見なされるかどうか、に対して決定的な要因になります。残念ながら、認識しているだけでは多くの場合不充分であり、変更を理解することが同様に重要です。後述するように、伸び計やたわみ計の使用に関する変更は、間違いなく、より混乱させかねない変更の一つです。それはその変更に納得性がないからではなく、様々に解釈されているからです。

ISO Timeline







何が変更されたのか?

2010年に、伸び計の使用がSection 5.4.2に導入されました。そこにおいて測定器が、伸び計に特有な区分規格であるISO 9513に準拠するように記載されているため、多くの人はこの変更を義務的なものと理解しています。当初、私もそのように変更を解釈しましたが、このSectionの全体を何度も読み返した後に、Section 5.4.2の最後の文章に、コンプライアンス補正が適用されない限り弾性率の決定にクロスヘッド変位は不適当であると記述されていることに気が付きました。この二つの文章は、お互いに矛盾するものであり、結果的にいずれも許容されることになります。集約すると、2010年時点において、コンプライアンス補正を取り除くことができるソフトウェアを有するたわみ計またはシステムが、弾性率の決定に必要になります。 注意:静的な試験システムに使用されているインストロンの全てのBluehillソフトウェアは、この機能を有しています。

次の変更は、寸法測定器具に関するものです。2010年に、非常に独特な要求項目が導入されましたが、規格に準拠する器具は市販ベースでは入手できないものであったため、2013年にその要求項目は修正され、非常に妥当な要求に代替されて、大部分の市販のマイクロメータが規格に準拠することとなりました。

終わりに、お伝えしたい最後の大きな変更は、一つの試験中に複数の速度を導入したことです。この変更により、もはや弾性率や応力に関係する測定計算のために二つの別個の試験をすることが要求されなくなるので、著しい時間の節約と試験関連費用の節減がもたらされます。試験は、単純に弾性率のために遅い速度で開始され、一旦、弾性率が測定できたら、残りの試験をもっと早い速度で行うことができます。

Q&A: 衝撃試験

Q: 衝撃試験は通常、4インチの平板を用い、直径3インチ孔の支持台、1/2インチの半球状タップインサートを用いて行っています。2インチ x 3インチのより小さくて数量が限られたサンプルについて、直径1.5インチ孔の支持台により試験することが必要になりました。同一材料からサンプルを採取し、同一のエネルギーと速度、タップインサートを使うと仮定して、直径1.5インチ孔の面積と、より大きな直径3インチ孔の面積を用いたときの間に、相関関係はありますか?

A:質問に書かれているように、支持台直径以外の全条件が同一に保たれた場合、相関関係が認められます。通常、最大荷重が増加した場合、エネルギー吸収は低下します。それは、大きなサンプルと孔面積の場合と同じようには、衝撃に抵抗する面積を材料が持てないことに起因します。

CEAST Puncture Fixture