変位の検証

クロスヘッド変位検証には検証規格が存在することをご存知でしょうか?

2005 年 3 月、米国の試験規格である ASTM より、変位計測の検証に関する「ASTM E 2309 材料試験機の変位計測システムとデバイスの検証の標準実施要項」が発行されました。 インストロンは、ISO/IEC17025 の認証機関である NVLAP より、この規格の認証を受けていますので、米国国家標準である NIST にトレーサブルな校正・検証サービスを実施することが可能です。

NIST は日本国内における AIST(産業技術総合研究所)と国際相互認証(MRA)されております。



クロスヘッド変位検証の規格は、ISO 及び JIS では未だに確立されておりません。

NVLAP 認証コード(Lab Code 200301-0)

変位の検証の必要性に関して

変位検証の有効性に関しては、ご使用されている試験アプリケーションによります。そのため下記に記載されております内容に該当する試験を実施する場合は、変位の検証をお勧めします。
  • 試験結果の計算表示の中に、クロスヘッド「変位」の測定値を記載している場合
  • 伸び計が使用できない試験条件において、クロスヘッドの「変位」と「初期長さ」からひずみを計算してる場合
  • 実際に試験した試験片や試験構造物の変形量を、クロスヘッド「変位」から計測している場合
  • クロスヘッド「変位」やアクチュエータ「位置」の正確な値や再現性を必要とする場合
  • 疲労試験機で使用している変位計(LVDT)のリニアリティーの確認が必要な場合

実際の試験コントロールに使用されているクロスヘッド「変位」やアクチュエータ「位置」は非常に重要であり、これらが正確に計測されていない場合、予想外の事故や試験データへの影響が出ます。

変位の検証の限界を理解する

試験片に力が掛かった状態において、その試験片の正確な変形量、ひずみ量を計測するには「伸び計」を使用することが望ましい方法であることは言うまでもありません。 しかしながらクロスヘッド「変位」の検証においては、実際に力が掛かった状態で検証をするわけではありません。 そのため実際の試験を想定した場合「変位」は力が掛かった状態で表示されるため、無負荷状態で検証した「変位」の値を、そのまま試験データに用いることは出来ません。 負荷状態での「変位」と無負荷状態での「変位」に差が出る典型的な要因として 

  •  電気機械式試験機の場合: クロスヘッドやねじ竿などのフレーム部品や、ロードセルやグリップ等の試験治具が、負荷状態でたわむため ギアやベルトの反力によるバックラッシュによるもの 試験片とグリップの接触面における微妙なずれ  
  • 油圧式疲労試験機の場合: クロスヘッドやコラムなどのフレーム部品や、ロードセルやグリップ等の試験治具が、負荷状態でたわむため 試験片とグリップの接触面における微妙なずれ アクチュエータ自身やピストンロッドのたわみや、オイルの圧縮性によるもの

ただし、無負荷状態において「変位」値を確認することは、実際の試験においての負荷状態での「変位」値を検証するための最低条件となります。無負荷状態での「変位」が正しくなければ、実際の試験で得られる結果も正確な値ではありません。

クロスヘッド「変位」の読み値の有効性

試験片の荷重は小さく、変形量が大きい材料を試験する場合 (ゴムやフィルム、シリコーンなど)



通常この様な試験の場合、試験機本体が高品質で最良の状態であれば、クロスヘッド「変位」の読み値を使用することが最も有効な手段となります。無負荷状態での「変位」の読み値は、この様な試験アプリケーションにおいては試験結果にそのまま反映させることができます。 試験片の荷重が大きく、変形量が小さい材料を試験する場合(金属材料や、高弾性のプラスチックなど) 「変位」の読み値が、試験片の変形量に対してどの様に影響しているか把握できていれば有効な手段になります。ただし、この様な試験を実施する場合は一般的には「伸び計」を使用する方が正確な値を計測できます。

コンプライアンス補正を使用している場合(圧縮試験で、伸び計や変位計を取り付けない場合)

このコンプライアンス補正は、インストロンの材料試験機用のソフトウェアに備わっている計算補正機能です。

これは、まず試験片を以外の「荷重」及び「変位」値を計測して、試験装置全体のたわみを計測します。次に実際に試験片を入れた状態で試験をして、その試験データから装置全体のたわみを差し引き、実際の試験片に本当に掛かった「荷重」、「変位」を表示する機能です。

この補正機能を使用することにより、より正確な「変位」が測定可能になりますが、無負荷状態で「変位」の検証をしておけば、さらに正確な「変位」が測定可能になります。

実際に試験片自体のひずみ計測が必要な場合

この様な試験に対しては、一般的に「伸び計」を使用することが必要となります。

「変位」の検証範囲と詳細



標準的な検証においては、お客様のご指定の範囲から5点の変位を検証します。

その範囲内であれば、最大で20点までの変位も追加で検証可能です。

クロスヘッド「変位」やアクチュエータ「位置」の検証には、非常に高い分解能を備えた精密計測器を用います。

この精密計測器とインストロン社で独自に開発した検証ソフトウェアを使用し、認定を受けたインストロンサービスマンが検証します。

インストロン電気機械式試験機であれば、誤差 0.5%相当である「システム等級 A」の検証が可能で、



油圧式疲労試験機であれば、誤差 1.0%相当である「システム等級 B」の検証が可能で、

検証に使用する機材は、通常「測定不確さ5~20ミクロン」の測定器を備えていますが、検証結果に関してはご使用している試験機の変位計測システムにより異なります。
  • 読み値の 0.5%以内の精度誤差(電気機械式試験機)読み値の 1.0%以内の精度誤差(油圧式疲労試験機)
  • 最小 変位検証範囲:4mm~(電気機械式試験機 システム等級 A相当)
  • 2mm~(油圧式疲労試験機 システム等級 B相当)
  • 最大 変位検証範囲:~1000mm (一般的には 100mm~250mm の範囲)
  • 検証用測定器の不確かさ:5~20μm (使用する機材による)

研究室の校正計画の管理を、高度化するには?

インストロンが解決のお手伝いをします。

  • インストロンのデータベースには、お客様の装置や設置場所等の必要な情報が全て保管されています。
  • お客様個々の次の検証の時期をご案内することが可能なため、前もってお客様のご都合に合わせたスケジュールをご案内するようにしております。
  • データと証明書は安全なインストロンのクラウドに保存され、必要な時に引き出すことができます。
  • インスロンの熟練のエンジニアは、お客さまの試験機について良く理解しております。問題の早期発見とお客様の装置の適切な取扱いを理解した上で保守整備を行います。