圧縮試験は簡単な試験にとらえられがちですが、実は最も理解されていない試験の一つであり、頻繁にエラーだらけの結果を産出します。2枚の平らな板の間で圧縮試験を実施することは単純なようですが、壊れやすい試験片から柔らかいゴムまで、それぞれの試験片は特有の課題を持っています。
最初の基礎的な課題はアライメントです。圧縮プラテン(板)が試験片の表面と平行ではないこともあり、その場合は結果として初期の接触が試験片の端で点接触となります。これは、破壊を引き起こしたり、試験片に曲げモーメントを誘発したり、初期破壊の原因となりうる応力集中を生じます。この課題は、脆い材料にとって最もシビアであり、柔らかい材料や延性のある材料にはそれほど深刻ではありません。
インストロンが推奨するソリューションは、球面座圧縮プラテンを使用することです。目的は、圧縮プラテンが試験片の表面で自己調整して、均一な接触を提供するためです。しかしながら、圧縮プラテンがどのように自己調整するかは重要です。適切に自己調整するよう、圧縮プラテンの回転中心は、試験片との接触表面上になければなりません。この回転中心が接触面の上や下にあると、自己調整の動作は横方向の動きを誘発し、適切なアライメントを得るためのアンビルの能力を制限してしまったり、または試験片に好ましくない横方向の荷重をかけてしまうことになります。インストロンは、通常、一方の圧縮プラテンにのみ球面座付きをご使用いただくことを推奨いたします。
このことの重要性はさまざまな圧縮試験規格に反映されており、それらの試験規格では明確に上記の要件を記載しています。たとえばASTM E9では、“圧縮板の球面は、試験片と接触する平面内に原点を持つ半径で定められること”と規定されています。
ただし、球面座の使用には注意すべきこともあり、実際には、圧縮荷重下にある柱の端の条件に影響があります。特に、試験片が長い(直径に対する長さの比が高い)場合や試験片が圧縮プラテンの中心軸からオフセットされている場合は注意が必要です。この問題にあたり、通常は、最初に試験片に接触した後で、回転を防ぐために圧縮プラテンをロックすることが望ましいです。ロックは、ユーザーによるミスアライメントを防ぐために”手締め程度”の強さでよいのですが、圧縮プラテンが大きく回転できないよう十分にしっかりしていなければなりません。
次の基礎的な課題は摩擦です。圧縮荷重下では、試験片は横方向に弾性的に(ポアソン効果)、あるいは塑性的に(一定体積維持)広がろうとします。しかしながら、圧縮プラテンは通常剛体であり、広がらず、試験片と接触していることで摩擦により試験片が広がることを抑制します。結果として、試験片は樽型の形状になり、試験片の見かけ上の軸剛性を増加させる横方向の応力が生じます。これらのことはすべて、測定エラーを引き起こすことにつながります。この問題のシビアさはアライメントの場合と逆となり、脆い材料でも厳密には無視できないものの、延性のある材料ではより大きくなります。
摩擦を抑えるには、圧縮プラテンが硬く(少なくとも55HRC)そして滑らかであることが重要です。それらの圧縮プラテンには、摩擦を増幅するような同心円状の彫りこみが入っているべきではありません。そして、表面にオイルやグリスを塗るのがよい方法となることもしばしばあります。
滑らかな表面を持つ大きな圧縮プラテンは、試験片を確実に中心にセットするということに、新しい課題を生じます。ロードストリングの中心軸に対して試験片をオフセットして置いてしまうと、曲げモーメントを生じる結果になります。もしロードストリング(圧縮プラテン、球面座、ロードセル、試験機フレーム)が横方向に丈夫であれば、生じるモーメントは抑制され、深刻ではないでしょう。脆い試験片は性質的に堅いので、誘発される曲げモーメントは無視できないこともあり、注意深く試験片を中心に置くことが重要です。この課題に対する最も一般的なソリューションは、圧縮プラテンに位置決めのための視覚的な同心円を描くことです。さらに、なめらかな仕上げの必要性を認識するなら、この問題を解決しつつそれでも消えない微小構造の表面マーキングが唯一の方法です。