1950年代以後、プラスチックは、包装/梱包の改善、新しい繊維の誕生、新製品の製造や最先端技術を可能にするなど、私たちの生活にあらゆる面で影響を与える一大産業になりました。一部には、非常に個別の機能要求に合わせた加工が可能という特有の性質から、プラスチックは世界中で最も利用されている材料です。プラスチックおよびプラスチック複合材料はその汎用性により、自動車部品から人形部品、飲料ボトルから冷蔵庫まであらゆる用途に使用することができます。
 
需要の高まりとともに、プラスチック材料の機械的および化学的特性を基準にしたより厳しい受入基準の必要性が生まれてきました。構造的にプラスチック材料の新しい利用法が生まれており、その一部の利用法のために、動的条件、すなわち、衝撃を受けたときのプラスチック材料の反応特性を把握することが欠かせなくなっています。材料の動的破断は、低速の安定した速度で試験した場合に見られる破断と異なります。このことは、多くの変数が材料に影響する場合、特にプラスチックに当てはまります。特定の材料形成のためのポリマーの使用方法、材料内のポリマーの配合状態、使用樹脂の注入の有無、着色剤、形成工程のすべてが、最終材料ばかりでなく、最終製品の強度と耐久性に影響します。ASTM D3763に基づく試験により、材料技師および設計技師は両方とも、強度、延性、剛性、エネルギー吸収など目的の特性について材料試験を実施することができます。
 
インストロンではこの試験用に、高エネルギーオプションを備えたインストロン 9450を使用しました。22 kNのタップ、0.5インチの半球形タップインサート、Bluehill Impact ソフトウェアで計装化し、ASTM D3763に従って設計された空気圧式クランプ用治具を使っています。衝撃速度は3.3 -4.4メートル/秒、データ収集時間範囲は30ミリ秒の設定です。ASTM D3763は、試験中の滑り防止のために一様なクランプ力がかかるよう、試験片を支える治具の2枚の板の中間に置き、クランプするよう明記しています。試験可能なエネルギーは、試験開始からピーク(最大)荷重時までの間に20%を超える速度低下がないようにしてください。有効衝撃エネルギーがピーク荷重時のエネルギーの3倍以上ある時、速度低下は20%未満であることに注意してください。
 
これらの試験は、気温23℃(±2℃)、相対湿度50%の標準的な試験室条件で実施します。空調および試験温度を変更し、いかなる衝撃速度でも制御された方法で試験を実施することによって、大部分のプラスチックについて、延性から脆性に材料が遷移する時点の温度を確認することができます。

試験処理能力とリソースの最適化が懸念される場合、インストロン9450にはスマートソリューションを搭載して、完全無人で最大30本の試験片のまたは最大10本の試験片の試験を、制限されたユーザーの手間と最大50%のサイクルタイムと窒素液の使用量を節約して行うこともできます。 この試験構成は、衝撃条件下においてプラスチック材料の性能特性を測定するためには大変適しています。

この試験の構成は、衝撃条件下でのプラスチック材料の性能特性の測定によく適しています。プラスチックのサプライヤーとそのお客様はともに、試験結果を利用して製品の性能を検証することができます。恒温槽を使用することにより、温度が低い状態あるいは温度が高い状態において材料はどのような性能を示すかを、これら両者が理解することが可能になります。
 
映像: ASTM D3763
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