金属射出成型のための原材料のキャピラリー・レオメーター試験
キャピラリレオメーターでは、標準プラスチック材料あるいはエラストマーの試験ができるだけではありません。ある材料が特殊なプロセシング用助剤なしに射出成形が可能であり、そのプロセスで硬化を受けない場合には、その材料を試験することが可能です。この興味ある例として、金属射出成形(MIM)用の原料があります。MIM技法は、さまざまな用途における複雑形状を有する小さい中実金属部品を製造するために用いられますが、その出発点はワックスあるいは他の高分子材料が混合された金属粉です。この混合物は、質量中に金属が最大の割合を占めるため非常に高い密度を有していて、加熱されて力が加えられて流動させられるとプラスチックのような挙動を示します。この高分子部品は、実際に金属粒子を充てん材として運びながら溶融、流動します。この混合物は射出成形後に最終対象品の前躯体(別名:圧粉体)となります。その後高温処理により高分子を燃え尽きさせる焼結プロセスによって金属粒子が接着します。これにより、金属鋳造あるいは精密機械加工をまったく行わずに精密で複雑な金属部品が実現され、その結果、時間、エネルギー、製造プロセスの複雑さの点で大きな節約がもたらされます。最終製品は、広範な用途、たとえば産業、商業、医療、歯科、ライフルとピストル、航空宇宙、および自動車分野などに用いられます。
CEAST SR20キャピラリレオメーターを用いたMIMの原料サンプルの数種類の試験がインストロンに要請されました。実験室においてこのMIMの製造がいったん裏づけられたら、この装置がプロセス制御およびプロセスの最適化に適していることを保障することが目的です。このサンプルは流動と安定性の観点からはほぼ通常のプラスチックのような挙動を示したため、顕著な問題もなく試験が行われました。金属粒子の形状(円形)とサイズ(数ミクロンから0.1ミリ未満までの範囲)を実際に制御したため、キャピラリダイを詰まらせる凝集体は形成されず、加熱シリンダーの内面も傷つけられませんでした。非常に高い硬度をもつ炭化タングステンのダイはスチール製ダイに比べて耐摩耗性が高く、この用途に対して精確な寸法許容差と長寿命を保証します。プロセシング時の流動条件をつくりだすために必要な温度と圧力は、このレオメーターで容易に取り扱うことができるため、最良の構成は標準加熱シリンダーと直径1 mmのキャピラリダイを有する20 kNユニットであることが分かりました。
CEAST SmartRHEO Series
プラスチックは、比較的低温で加熱しただけでも流動する独特の特性をもつ驚くべき材料です。プラスチックは広範な種類の形状に成形することができ、数多くのさ まざまな用途に応じて加工することができます。しかしながら、この成形プロセスにおけるプラスチックの流動特性は複雑で、多くのパラメータによる影響を受けま す。インストロンは、CEAST SmartRHEOシリーズをとおして、プラスチックの応用分野とプラスチック産業における総合的かつ効果的な試験ソリューションを提供しま す。このキャピラリーレオメーターは、材料のレオロジー特性を定めるプラスチック材料の流動挙動を測定して、プロセス条件を再現します。
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- 1/14/2021
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