プラスチック

(英語:Plastic)

低密度、低剛性、低電気伝導率と低熱伝導率、破断時の大きい変形、低溶融点により典型的に特長づけられる材料。プラスチックは、容易に成形することができ、良好な化学的性質を有しており、産業界における製造の観点では、他の材料よりも機械加工、コーティングおよび熱処理を必要としないが、一方低い機械的性質を有している。プラスチックは、通常は性能を向上させてコストを低減するため、他の物質を添加したポリマーからできている。ポリマーは、炭素(あるいはシリコン)原子の強い主鎖をもつ一方で互いに弱い結合によって結びついた長分子からなる構造を有し、非晶質あるいは半結晶組織を有し、時間と温度依存性の大きい機械的性質を有する材料の種類に属する。ポリマーは、金属およびセラミックスとはかなり異なっていて、これらの代替材料となるが、これらの材料と組み合わせて複合材料を形成することも可能である。大部分のポリマーは、石油製品から合成して得られる。この合成技術はここ100年以内に開発されたものであるが、それにもかかわらず、日常生活における多数の用途は非常に大きく成長し、全世界の生産量は現在は年間ほぼ数立方キロメートルに達している。自然界にある有名なポリマーの例としては、セルロースとゴムがある。

熱可塑性プラスチックは、十分に熱が加えられると柔らかくなって溶融するので、必要に応じて再加工、混合および成形することが可能である。これは、リサイクルするためにはとくに好ましいが、その性質はモニターする必要がある。熱硬化性プラスチックは、加工するとより複雑で非可逆的な反応をするので、容易に成形できるのは1回のみである。しかしながら、熱硬化性プラスチックは、より優れた機械的性質と熱的性質を有しており、高性能複合材用にもっともよく用いられる基礎材料である。

石油産業および基礎工業化学は、ポリマー用の開始原料を供給する。単純な構造のユニットはその後(特殊化学反応装置と触媒を用いて)「重合され」、長い鎖が形成されることでこれらの材料の典型的な性質が得られる。主鎖の長さ、およびその成分と内部結合、加えて枝分かれの発生により、無限に豊富な種類の性質が決まり、他の化学薬品、不活性物質、強化相、着色剤などなどの添加によりさらにその性質が拡大し、プラスチックの世界が出来上がる。

性質と複雑さの特異な範囲に起因して、プラスチックは、原材料の生産から混合、処理、最終部品の製造、さらにリサイクルまで、その寿命の各段階に焦点をあてた分析とキャラクタライゼーションには専門の科学機器が必要である。

プラスチックの用途例(原ポリマーにより分類)

  • ポリエチレン(PE):レジ袋、プラスチックボトルを含む広範囲の安価な製品用途向け。
  • 超高分子量ポリエチレン(UHMWPE):人工器官用部品。
  • ポリプロピレン(PP):食品容器、電器製品、自動車のフェンダー(バンパー)、プラスチック圧力パイプシステム。
  • ポリスチレン(PS):梱包用発泡材料、食品容器、使い捨てのコップ、プレート、ナイフ、フォーク、CDケース。
  • 高耐衝撃ポリスチレン(HIPS):冷蔵庫内壁、食品包装、自動販売機用コップ。
  • アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS):電子機器のケース(例、PCモニター、プリンター、キーボード)、排水管
  • ポリエチレンテレフタレート(PET):飲料水ボトル、ジャー、プラスチックフィルム、電子レンジ用包装材。
  • ポリエステル(PES):繊維、織物。
  • ポリアミド(PA):(ナイロン)繊維、歯ブラシの毛、釣り糸、自動車ボンネット内部のエンジン成形品。
  • 塩化ビニル(PVC):配管用パイプおよび雨樋、シャワーカーテン、窓枠、フローリング。
  • ポリウレタン(PU):クッション用発泡材料、断熱用発泡材料、表面コーティング材料、プリンターローラ。
  • ポリカーボネート(PC):CD、眼鏡、暴徒鎮圧用シールド、安全窓、交通信号灯、レンズ。
  • 塩化ビニリデン(PVDC):食品包装材料。
  • ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS):自動車内外装部品、携帯電話ケースのポリカーボネート(PC)とアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂混合品。
  • ポリテトラフルオロエチレン(PTFE):フライパン用コーティング材、低まさつ・耐薬品性部品。
  • ポリエーテルエーテルケトン(PEEK):特定用途向けの軽金属合金あるいはセラミックス代替品。